犬と子どもが一緒に育つということ
「大型犬を子どもと一緒に育てても大丈夫?」
そんな質問、何度も聞いてきた。
俺の答えはいつも同じ。
“大丈夫”じゃなくて、“どう育てるか”が全て。
犬は家族であり、パートナーだ。
特に大型犬ともなれば、周囲からの目も厳しいし、万が一のことがあれば「犬のせい」にされる。
でも、犬が原因で何かが起きることって、実はほとんどが“人間側の準備不足”なんだと思う。
子どもは犬にとって“予測不能な存在”
子どもって、純粋で無邪気で…でも、犬からするとちょっと怖い存在になることもある。
大きな声、急な動き、意図のない接触。
特に繊細な気質を持つ犬にとっては、「何をされるかわからない」=ストレスの種になりやすい。
たとえ大型犬であっても、我慢には限界がある。
吠えた、うなった、逃げた。
それを「ダメだ」と怒る前に、大人がその前兆に気づいてあげるべきだ。
・何度もあくびをする
・体をポリポリ掻く
・白目を見せながら目線を逸らす
・その場を離れようとする
こういう小さなサインを見逃さず、犬の“心の声”に気づいてやれるかどうかがカギになる。
子どもにとっても、犬は“生きた教科書”になる
犬と暮らすことで、子どもは「命を大切にする感覚」や「相手を尊重する意識」を自然と学んでいく。
それは学校では教えてくれないことだし、画面越しの情報じゃ伝わらない。
「触る前に声をかける」
「犬が嫌がったらすぐにやめる」
「食事中や休んでいる時はそっとしておく」
…そういうルールを一つひとつ、生活の中で一緒に覚えていく。
それをしっかり伝えていくのが大人の責任だし、
それができた時の「犬と子どもの関係性」って本当に特別なものになる。
俺自身が意識していること
俺にとって、犬は“守ってやりたい存在”であり、“俺の一部”みたいなもん。
だからこそ、子どもと犬が同じ空間にいる時、
どちらかだけに寄せるんじゃなくて、「両方を同じだけ尊重する」ことを大事にしてる。
犬にも感情がある。
疲れるし、面倒な時もある。
だから、子どもに「今はやめておこう」と伝える時もあるし、
逆に犬に「よく我慢したな」としっかり褒めることもある。
それを繰り返していくうちに、
子どもは“犬の気持ちを考える”ようになっていくし、
犬も“子どもとの距離の取り方”を覚えていく。

犬と子どもが一緒に育つことで、得られるもの
俺は、子どもにとって一番の先生は“生き物”だと思ってる。
言葉が通じない相手と、どう信頼関係を築いていくか。
どうすれば気持ちが伝わるか。
そういう「根っこの部分」って、人間関係でも役立つ。
そして犬にとっても、子どもと暮らすことで、人に対しての許容力や信頼感が育つ。
犬と子どもが一緒に成長していく姿を見るのは、
飼い主にとってもかけがえのない喜びになる。
大きい犬だからって、怖がられる。
何か起きたら、まず疑われる。
だからこそ、俺たち大人が“犬の立場”を理解して、守っていく必要がある。
しっかり教えて、ちゃんと見て、
犬も子どもも、“お互いに安心できる存在”にしてやること。
それができれば、大型犬と子どもって、最高のコンビになれる。

――諒史(GARM JAPAN)