大型犬と暮らす上で感じるリアルな課題
大型犬と暮らす上で感じるリアルな課題
大型犬と暮らしてるって言うと「頼もしいね」「かっこいいね」と言われる。でもそれは表面の話。実際は、毎日の生活の中で直面する「現実」が山ほどある。
そのひとつひとつは、小さなことに見えても全部「覚悟」がいる。大型犬と本気で暮らすっていうのは、そういうことだと思ってる。
■ 移動の自由が制限される現実
大型犬を連れての移動は、想像以上にハードだ。
俺は最初、普通のSUVに乗ってたけど、虎次を乗せるだけで精一杯。伊邪那が来てからは、車を買い替えることになった。車の選択肢が“犬中心”になるなんて、当時は思ってもみなかった。
旅先での宿泊先やドッグランも、「大型犬OK」と書いてあっても、実際には明らかに歓迎されてない空気を感じることもある。あれ、結構心にくる。犬が悪いわけじゃない。ただ“でかい”ってだけで、選択肢から外されていく。これが現実。
■ 「何もしてないのに」偏見がつきまとう
大きくて、筋肉質で、黒っぽい毛色だったりすれば、それだけで「怖い」と言われる。
すれ違いざまに子供を隠されることもあるし、小型犬を抱き上げられて「危ないからやめてよ」って言われたこともある。
でも俺らは、誰よりも気をつけてる。
首輪もリードも、他人の5倍は頑丈なものを使ってる。周囲に気を配って、吠えさせないようにコントロールして、リードの持ち手から指を離さないようにしてる。
それでも「ただの見た目」で判断されるのが、悔しい。
■ 「本当に安心できる道具がない」から、作った
俺が最初にリードを作ったのは、虎次が来てすぐのこと。
市販のリードをいくつか試してみたけど、金具が緩かったり、ロープが細すぎたりして全然安心できなかった。
「これじゃ、守れないな」って思った。
そこで、クライミングロープを取り寄せて、金具は登山でも使われるものを選んだ。
自分の手に馴染むように何度も編み直して完成したリードは、5年経った今でも現役。
大型犬には「選ぶ道具」じゃなく、「信じられる道具」が必要なんだと思う。

■ 躾の重要性は“トラブル防止”だけじゃない
大型犬は一歩間違えば、人や他の犬に怪我をさせる可能性がある。だから、躾は必要不可欠。でも俺がそれ以上に思うのは、「こいつらとどう生きていくか」を考えた上での“信頼構築”だ。
ただ従わせるんじゃなく、なぜダメなのか、なぜ止まるべきかを理解させる。
怒るときは本気で怒るし、褒めるときは全力で褒める。犬が本気で向き合ってくれるのって、こっちがどれだけ真剣か伝わったときだけだと思う。
■ 責任は「暮らす前」から始まってる
大型犬は、ただ可愛いだけじゃ絶対に飼えない。
ちょっとした判断ミスが、事故や誤解、命に関わる事態になる。
俺は「可愛いから」とか「一緒に寝たいから」といった軽い気持ちでは絶対に迎え入れない。迎える前から「こいつを一生守る覚悟があるか」を、自分に問い続けるべきだと思う。
大型犬との暮らしは、誤魔化しが効かない。
でも、だからこそ深い。犬との信頼、安心、そして誇りは、全て“向き合った分”だけ手に入る。
課題が多い?
上等だよな。それを一つ一つ越えていくことで、俺たちは犬と並んで歩けるようになるんだと思ってる。

――諒史(GARM JAPAN)